『日本人の謙遜が招く間違い』
間違えやすい英語1「これは嫌いです」
間違えやすい英語2「つまらないものですが」
間違えやすい英語3「お名前は何ですか?」
ここでは、日本人が間違いやすい上記の3つの表現を紹介します。
日本語には、丁寧語、尊敬語、謙譲語という3種類の敬語があります。日本の文化は謙遜の文化とも言われ、遜った言い方をしますよね。
それに比べて、海外は「はっきり言う」「謙遜はしない」と聞いたことがある人も多いかもしれません。
しかし、そのような違いがコミュニケーションを難しくさせてしまうこともあります。ここでは日本人が間違えやすい、3つの表現をお話しします。

『日本人が間違えやすい英語(その1):これは嫌いです』
海外では、物事をはっきり言うと聞いた事はありませんか?
特にホームステイをする際、日本人は「外国人は好き嫌いをはっきり言うから、何か食べられないものが出た時は『これは食べられません』『これは嫌いです』と言いましょう」と習います。
しかし、これは誤解の元になります。はっきり言う外国人だって人間ですから、いきなり自分が作ったものに対して「これ嫌い」などとはっきり言われてしまえば、良い気持ちはしませんよね。
しかも、”I don’t like this”や”I can’t eat this”ならともかく、「これは嫌いです」を直訳して”I hate this”と言ってしまう人もいます。
“I hate this”は「これは嫌いです」ではなく、むしろ「これは大嫌いです」と言う意味になってしまいます。
それなら、何と言えば角を立てずに済むのでしょうか。
私がコーディネーターをしていたときには、必ず一口は食べるように話していました。確かに海外では、見たことがないものが食卓に並ぶこともあるでしょう。
しかし、食べもせずに諦めてはいけません。一口食べてこれは無理だと思ったら、「ごめんなさい。これは好みの味じゃないようです。(”I’m sorry, but this is not my favorite”)と言いましょう。
ただし、必ずしも言わなければならないと言うわけではありません。
例えば、日本で家族と食事をする時にいちいち「これは食べられない」とは言いませんよね?海外でも、これと同じです。
いちいち言わなくても、残すだけでホストファミリーには「それは好みではない」ということは伝わります。
いちいち口に出す必要はないですし、ホストファミリーなどから「あら、食べてないけど好きじゃなかった?」と聞かれた時に初めて”I’m sorry, but it’s not my favorite”と答えても問題ありません。

『日本人が間違えやすい英語(その2):つまらないものですが』
日本人が誰かにプレゼントする時、つまらないものですが」と言うことがあります。これは海外で言ってはいけません。
海外は、「素晴らしいものだから他人にあげる」「自分が好きなものを人に渡す」という考え方があります。
そのため、「つまらないものですが」と言ってしまうと、「つまらないものを人に渡すの?」と捉えられてしまい、なんて失礼な人なんだと思われてしまう可能性があるからです。
これは考え方の違いによります。
ホームステイに行ってホストファミリーにプレゼント渡したり、外国の友達にお土産を渡したりする時、つい日本人は「つまらないものですが」を英訳してしまいます。
しかし、これは言わない方が良いでしょう。
「好きだから持ってきた」「これは私のお気に入りだから、喜んでもらえると嬉しい」などのように、自分が好きなものを相手に渡す、自分が気に入っているものをプレゼントする、と言う姿勢を忘れないようにしましょう。
また、海外では、「日本人は目の前でプレゼントを開けない」文化があると信じられていることがあります。
日本人は、もらったものをその場で開封することを失礼だと捉える、と信じられていることがあるのです。
ここからわかるように、海外ではもらったものはその場で開けて、喜ぶことがマナーだと捉えられています。そのため、何かをもらった場合は「開けてもいいですか? “May I open it?”」と聞き、その場で開けるようにしましょう。

『日本人が間違えやすい英語(その3):お名前は何ですか?』
“What is your name?”と言う言い方は、誰もが中学生で習う英語表現です。
しかし、この言い方はどちらかと言うと「名前は何?」と言う言い方になります。そのため、ビジネス英語には”Can I have your name?”という表現があります。
日本語には敬語がありますので、この違いは分かりやすいと思います。
“What is you rname?”と言う言い方は「名前は?」という訳になり、”Can I have your name?”は「名前は何ですか?」と言う意味になるのです。
そのため、誰かに名前を聞くときにはつい日本と同じ感覚で、「名前は何ですか?」という訳になる”Can I have your name?”を使いたがる人がたくさんいます。
また、ホームステイに行く子供たちにこの言い方を教える大人もいます。
しかし、この言い方はあくまでもビジネス英語に近いと言うことを覚えておきましょう。新しいクラスで新しく出来た友達と話す時に”Can I have your name?”とは言いません。
例えばそれは、留学に行った高校生がクラスメートに使う表現ではありません。たとえ年上の人であったとしても、仲良くなったのであれば”I’m sorry, but what’s your name?”で十分です。
むしろ、”Can I have your name?”と聞くことで距離感を感じさせてしまい、違和感を与えてしまう可能性が高いです。
日本人は、年上の人と仲良くなったときは敬語を崩しません。
しかし、海外で好まれる「敬語」は、日本語の敬語とは違います。
日本語の敬語と同じ感覚で話してしまうと相手に違和感を与えてしまう可能性が高くなり、「気取っている」などと誤解をされてしまうこともあります。
例えば高校生や大学生が留学に行く程度であれば、”Can I have your name?”と言う言い方はまずしなくて良いと思って良いでしょう。

間違えやすい英語1「これは嫌いです」
間違えやすい英語2「つまらないものですが」
間違えやすい英語3「お名前は何ですか?」
いかがでしょうか。日本では当たり前のように聞いたことがある表現でも、海外では直訳してはいけなかったり、そもそも言ってはいけなかったりすることがたくさんあります。
言語を学ぶと言う事は、相手の文化を知らなくてはならないということです。
例えば、外国人が日本語を勉強する時、日本語の敬語だけではなく、謙遜の心などを知らなければそもそも敬語を使いこなすことができません。
このように、言語を学ぶ際には文化を知るということが必要不可欠なのです。
もしも海外に行った時、日本で習った表現を口にして相手に「ん?」という顔をされたら、すぐに「私、何か変なこと言いましたか?”Did I say something wrong?”」と言ってみましょう。
その時は恥ずかしいと思ったとしても、そこで学んでおけば次の機会に生かすことができます。間違いは恥ずかしいことではありません。
間違ったと思ったら、それを認めて正し、新しい表現を学べばよいのです。
コメントを残す