『英語圏の子供はどうやって「読み」「書き」ができるようになるの?』
私達日本人が英語の勉強をするときは「聞く」「話す」「読む」「書く」の4方面すべてをしなければいけないので大変ですよね。
「英語のネイティブは勉強しなくても英語ができていいな」なんてボヤきたくなることもあります。
でも実はネイティブの子供達も「読む」「書く」はしっかり勉強しているんですよ。「聞く」「話す」とは違って自然にできるようにはなりません。
じゃあどうやって勉強しているんでしょう?
オーストラリアの小学校を例にして、子供達が学校の勉強を通してどんなふうに読み書きができるようになっていくかをお話しします。
この3つが小学校での読み書きのためのベースになります。
・フォニックス方式で単語を学ぶ
・字を書く練習をする
・読みの練習をする

『単語レベルの読み書きをまずフォニックス方式で学びます』
フォニックスという英語の学習法を聞いたことはありますか?
英語の発音とスペルを関連付けてルールをつくり、それに基づいて読み方を学ぶ方式です。英語圏の子供たちはだいたいこの方法で読み書きを習い始めます。
なんと英単語の75%はこのルールに当てはまるそうですよ。ですからフォニックスを覚えると読み書きがかなりできるようになります。
例えばこんな感じです。
・豚「ピッグ」の中の短い「イ」の発音:short ‘i’ as in PIG
・飛行機「ジェット」の中の短い「エ」の発音:short ‘e’ as in JET
・月「ムーン」、引っかける「フック」の中の「ウウ」の発音:long ‘oo’ as in MOON, HOOK
・スポーツ、フォーク、コーンの中の「オア」の発音:’or’ as in SPORTS, FORK, CORN
このようなルールが約50パターンあって、それをまず単語を見ながら言って覚えていきます。
【サイトリーディングで覚える単語】
フォニックス方式のパターンにはまらない単語約25%は、サイトリーディング:sight readingといって丸暗記して覚えます。
こちらの学校に通う息子は、プリントの宿題が出て毎日読む練習を家でしました。
例えばthere, all, she, how, their などがあり、1年生が終わるまでに約100単語のサイトリーディングをします。
ちなみにオーストラリアの小学校はプレップと言って日本の年長組に当たる年齢から始まるので、2年間で約100単語を覚えるということですね。
【日記を書いてどんどん単語を覚えます】
毎週授業でウィークエンドライティング:weekend writing といって、週末に会ったことを日記形式で書くアクティビティがあります。2年生頃まで毎週書きます。
フォニック方式で発音とスペルを結び付けて覚える子供たちは、口にする言葉をそのまま書きます。ですからスペルの間違えもフォニックのパターンでの間違いが多いんです。
面白いのは、最初のころは先生は間違いを直しません。書くことが楽しいと思うことが優先だそうです。
息子がプレップの時のウィークエンドライティングを読んでみると、スペル間違いにフォニック方式があるのが分かって興味深いです。
少しご紹介しますね。
日本語訳:ぼくの週末はパーフェクトだった。ハリーの誕生日に行った。そこには火山があった。登るのは簡単だった。なぜなら靴下をはいていたから。
原文:My weekend was Per fect. I went to Harry’s Berth day there was a volca no it was ezee for me to clim. Be caus I had no sox.
英語訳: My weekend was perfect. I went to Harry’s birthday. There was a volcano. It was easy for me to climb. Because I had no socks.
なかなか意味不明ですが当時5歳ですからこんなものでしょうか。
例えばパーフェクト:Perfectという単語。フォニック式で覚えているのでPerとfectを別々に書いています。
それから簡単:easyという単語をezeeと書いています。他にも靴下:socksがsoxだったりしていますね。とりあえず発音通りに書いていくことが最初のステップとなります。
他には単語のフラッシュカードやリーダーという宿題の本を声を出して読みます。
それを通じて沢山単語を目にし、自然に正しい読み方とスペリングが覚えられるようになっていきます。
【スペリングビー大会】
スペルを覚えるためにスペリングビー大会というのもありました。学年ごとに課題の単語を覚えて点数を競うというものです。
余談ですが息子の学校はハリーポターの学校のようにハウスで分かれていて、ハウスごとに点数を競うのでなかなか盛り上がっていました。ハウスというのは学年に関係なく縦割りで分かれている、運動会の組分けのようなものです。

『字を書く練習は書写の授業に似ています』
こちらの子達もまずはアルファベットの大文字・小文字のブロック体から練習を始めます。アルファベットが終わると、学年相応の必須単語を書く練習します。
ひらがなやカタカナでもよくありますが、字が反転してしまうのはアルファベットでもよくあります。
息子も ’s’ や ’f’ がいつまでも反対向きで心配しました。普通にブロック体が書けるようになったら、次は筆記体の練習に移ります。
大体2年生頃にはみんな筆記体に移ります。筆記体はJoined up writing またはCursive writing と言います。きちんと練習した子はきれいな字になりますよ。
4年生頃になるとペンライセンス:Pen license をもらう子が出てきます。これは先生からの「ボールペン使用許可」です。
字をきれいに書けること・学年相応の単語を正しく書けること・句読点など文章を書くルールを正しく理解していること、などができるようになると許可がでます。
『読みの勉強は音読が重視されます』
英語の基礎をフォニックス方式で学びますから、読みの勉強は声に出すことが重視されます。低学年はリーダー:Readerといって15段階ほどにレベル分けされた薄い冊子が毎日宿題にでます。
これを家で保護者と一緒に音読します。リーダーの冊子にはいくつか特徴があります。
・最初は韻(いん):rhythmを含んでいる短文がメインの本が多い
・簡単なレベルは絵と文がマッチしていて、視覚効果からも読むのを助ける

学校での授業は同じレベルの生徒がグループごとに先生と一緒に読んだり、子供が読んで先生が単語や文の意味を質問したりします。月に一度先生がリーダーのテストをして、次のレベルに進むかどうか判断します。
3年生頃からはReaderの宿題はなくなります。代わりに自分の好きな本を読んでストーリーを書いたり、先生に話すという宿題が出ます。
この頃辞書の使い方を勉強するので、分からない単語は自分で調べるように言われます。簡単すぎる本や自分のレベルに合っていない本ばかり選んでいると注意されるんですよ。
読書記録:reading log をつけて毎日読書する習慣を身に着けます。学校の授業では先生に自分が選んだ本を読んで聞かせて、先生が難しい単語の意味や本の内容を生徒に質問します。
オーストラリアの学校は授業で教科書を使用しないので、みんなで同じ本は読みません。
自分のレベルにあった本を読んで勉強に使います。学年相応レベルの基準は決まっていて、それに達していない子は英語担当の特別教員:reading specialist の授業を別途受けたりします。
声に出して読む練習は大切なようです。子供の先生になぜ高学年になっても音読が必要なのかを聞いたら、流し読みするだけでは単語力と読解力が身に付かないと言っていました。
声にだして読むことで分からない部分をよりハッキリさせ、書かれている内容を意識しながら読むようになるということです。自分のレベルにあった読み物を選ぶのも大切なことのようです。

『始めはみんなゼロからスタートしています』
オーストラリアの学校では入学する前に自分の名前だけは書けるように準備します。ところでこちらでは保護者が授業を手伝いにいくことが多いのです。
入学した頃自分の名前しか書けなかった子供達がアルファベットを覚え、少しずつ単語が読み書きできるようになっていくのを見る過程は驚きの連続でした。
そして高学年になると大人顔負けの分厚い本を読むようになる子もいます。
私はフォニックス式で英語を学ばなかったので、子供の宿題を見るのが大変でした。始める方法がフォニックスである必要はないと思います。
でも小学校の勉強過程を見ていると、レベルに合った音読をするのは効果的なようですね。ぜひ試してみて下さい。
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