『中国、北京に行く前の気持ち』
- 中国語が通じなくてもわかろうとしてくれる
- 公共交通機関では社会的弱者に席を譲る人が多い
- 大学生の英語力が高い
日本からすると、中国は未知なる世界です。複雑な国際関係や北京の大気汚染など、私が夫と一緒に中国に行くと決めたときには思った以上に特に周りから不安な声が上がったほどです。
ここでは、そんな中国で生活してみて感じた北京の良さについてお話ししたいと思います。
夫と結婚し、夫の仕事の都合で北京に行くことが決まった際、私は特に不安を感じていませんでした。今までずっと遠距離恋愛だった夫と結婚し、やっと一緒になれたので、2人で暮らせるならばどこの国でもいいと感じていました。
母が心配した問題はもちろん大気汚染でした。私は小さい頃に喘息を抱えており、今でも簡単に気管支炎になります。そんな体質の私がテレビで見るような中国の大気汚染に耐えられるのかと母には心配されました。実際に中国の大気汚染がひどいですので、前回一時帰国した際には病院に行き、咳が出た場合の強い薬を処方してもらったこともあります。
結婚前の職場の仲間や友人からは、複雑な日中関係を心配されました。日本人だということがバレたら危険じゃないのか、と心配してくれた人もいました。私が自分で考えるよりも周りの方が深刻に考えていたようです。中国語が分からなくて大丈夫なのか、と言われたこともありました。

『北京で生活してみて驚いたこと(その1):中国語が通じなくてもわかろうとしてくれる』
私も夫も中国語は話せません。今はなんとなくわかる単語も増えましたけど、中国に来た当初私たちが唯一知っていた単語は「你好(こんにちは)「谢谢(ありがとう)」だけでした。
また、驚くほど英語が通じず、喫茶店でコーヒー1 杯を注文するにも苦労をした覚えがあります。
カーテンを買おうとお店に出かけた時はカーテンが見つからず、夫はイラストが上手なので、音が上にカーテンのイラストを書き、お店の人に見せました。その結果、カーテンレールのところに案内されたこともあります。
そんな私たちが受けた印象では、中国の人たちは私たちが中国語しゃべれないと気づいても、嫌な顔をしない感じがします。
例えばこれは私の経験ですが、アメリカに行って英語が通じないと、アメリカ人に全身で「君の英語はわからない」と表現されてしまうことがありました。人種的な問題もあるのでしょうが、むしろ端から「アジア人」と見られるためか、聞く耳を持ってもらえないことさえあります。
しかし、中国ではこれがありません。もちろん困った顔される事はありますが、それでも嫌な顔されたり、無視されたりすることがないのです。これはすごいなぁと感じています。

『北京で生活してみて驚いたこと(その2):公共交通機関では社会的弱者に席を譲る人が多い』
北京のバスには、ドライバー以外に係員が数人載っています。チケットの確認をする係員や乗客の安全を確認する係など、多いとドライバーを含め 3 人の係員が乗車しています。
私は今妊娠 22 週なのですが、この係員や乗客には何度も助けられてきました。と言うのは、北京の人たちはお年寄りや妊婦、子連れの人に席を頻繁に譲るのです。
実は、私が妊娠し、初めて席を譲ってもらったのは妊娠 8 週の時でした。まだお腹も出てはいなかったのですが、冬でダウンジャケットを着ており、周りからはお腹の大きさがわからなかったこと、たまにバスの中でお腹を撫でていることがあったからだと思います。混んだ電車の中で、大学生くらいの男の子が席を譲ってくれました。
お腹が大きくなるに従って、本当に多くの人に席を譲ってもらうようになりました。場合によっては、係員が空いている席に優先的に座らせてくれることもありますし、満席の場合は係員が「妊婦さんがいるから誰か席を代わってあげて」と頼んでくれたりします。
他にも特定の乗客を指し、ほぼ問答無用で「君、この妊婦さんに席を代わってあげて」と声をかけてくれたりすることもあります。この場合、誰かが必ず席を譲ってくれます。
「むしろあなたが席に座っていた方が!」と思ってしまうようなお年寄りが席を譲ってくれることもありますし、壁際に立っている人が、私が寄り掛かれるようにと場所を入れ替わってくれることも少なくありません。
今は周りの人に助けてもらってばかりですが、私も人に席を譲れる状態になったら、今受けている恩を誰かに返したいと思います。

『北京で生活してみて驚いたこと(その3):大学生の英語力が高い』
夫が大学教員のため、私たちには大学生と関わる機会が多くあります。そんな時、こちらの大学生の英語力の高さに驚かされます。
私たちが初めて中国に来た時、ビザやアパートの面倒を見てくれたのもこちらの大学院生でした。その院生は、決して英語がペラペラと言うわけではありませんでしたが、一生懸命親身になって対応してくれて、とても好感を持ちました。
いまだに私たちは中国語がよくわからないので、例えば風邪を引いて病院に行く時などに学生についてきてもらったこともあります。そんな時も事細かに中国語を英語に訳してくれて、本当に安心できました。
「何かあったらいつでも連絡して!」と言ってくれる学生が多く、その気持ちと、実際に中国語の分からない外国人を助けられる英語力の高さに本当に感謝しています。
私自身、外国人の先生方の授業に出席させてもらったことがありますが、学生たちが英語でディスカッションをしている姿に驚かされることもあります。
「ならそれくらいできて当たり前」という人もいるかもしれませんが、英語を母国語としない学生が毎週英語の本を何十ページと読み、それについて英語でプレゼンテーションをして意見を述べ合う姿は圧巻です。
もちろん、全員が全員上手に英語を話すわけでは無い為、中には「ん?」と思うことを言う学生もいます。しかし、だからといって「恥ずかしいから黙っていよう」という事はなく、積極的に意見を言う姿は素晴らしいと思います。
英語が通じる学生たちの中にはまるで命の恩人と言える学生もいます。初めて日本に転勤してきて不安がいっぱいの外国人にも、このように助けてあげられるような日本人の学生がいたらいいなと感じています。

『住んでみて初めてわかる、北京の良いところ』
- 中国語が通じなくても、嫌な顔をしない
- 妊婦にも席を譲ってくれる人がたくさんいる
- ハイレベルな英語を話せる学生が多い
どれもこれも、日本に暮らし、中国や北京に関するニュースをテレビで見ているときには知らなかったことばかりです。確かに実際に住んでみないとわからないがあるのは当然ですが、中国の良いところを知れた事は本当に良かったと感じています。
中国に住み始めて 2 年近く経ちますが、私は今のところ「日本人だから」と言う理由でや嫌な思いをした事は 1 度もありません。むしろ、私が日本人であると言うことがわかるとアニメや漫画について語ってくれる人もおり、「日本のトイレってきれいだよね」と言ってくれた人思います。
もちろんこれは地域にもよるようで、田舎に行くと日本人への風当たりが強いと聞いたこともあります。そのため、私の北京での経験は、きっと中国全土で共通しているものでは無いのかもしれません。
たしかに大変なこともたくさんあります。言語が通じないからなかなか言い分が伝わらなくて苦労をすることは多いです。あるいは、中国の人はまるで言葉がわからない人にとっては怒鳴り合いをしているかのような勢いで話をすることがありますので、そのような雰囲気で話をされると頭に来てしまうこともあります。
接客の態度は日本とは違いますから、腹が立って日本語で文句を言ってしまったこともあります。中国のトイレは日本のトイレとは全然違いますから、「ここのトイレだけには入れない!」と言う場所もあります。
しかし、「住めば都」と言う言葉があるように、そこに住み始めてみると楽しいこともたくさんあります。ここの地域の人の良いところを見ることもでき、日々新たな発見をしています。これからも悪いところばかりを見ず、様々な長所を見つけていきたいと思っています。
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