グロービッシュはネイティブには通じない?
私は、長年イギリスで英語を使って仕事をしているのですが、英語を『学習する』ということから離れてかなり経っています。
久しぶりに英語のスキルアップのために、もっと単語を覚えようと教材を探していると、『グロービッシュ』という言葉に出会いました。
最近は、英会話学校でも短期間に英会話をマスターできることから、グロービッシュを取り入れているところが増えているようです。
非ネイティブ同士の会話を円滑にするために発案された、覚える単語は1500語という、英会話初心者には魅力的な学習法なのですが、『ネイティブには通じるのか?』『間違った英語を覚えるのではないか?』と疑問に思っている方も多いと思います。
グロービッシュを学習するかどうか迷っているあなたのために、グロービッシュのメリットやデメリット、そしてネイティブとの会話に使えるのか?という疑問を検証してみました。

グロービッシュって何?
「グロービッシュ」とは、元アメリカIBMの国際マーケティング担当副社長のジャン-ポール ネリエール(Jean-Paul Nerrière)が、英語を母国語としない者同士の会話を円滑にするために発案した、ビジネスにおける世界共通語です。
英語をツールとして割り切って、使う単語は1500単語とその派生語のみ、1文1文を短く、文法は能動態がメインと、とにかく「確実に伝わること」を目的としています。
難しい英単語を知らなくても、知っている単語で言い換えることができるので、使用頻度の低い単語をわざわざ覚える必要がありません。
そういえば、私も昔、ほうれん草(spinach)の単語が出てこなくネイティブに通じたことがありましたが、今思えばこれもグロービッシュですね。

グロービッシュの4つのメリット
メリット①使用頻度の高い1500単語とその派生語だけ覚えるので無駄がない
メリット②比較的短期間で英会話が習得できる
メリット③実用的
メリット④非ネイティブならではの誤解を避けられる
グロービッシュで避けられる誤解
『Didn’t you go to school today? (今日学校に行かなかったの?)』
という否定疑問文を聞かれて、答えに困ってしまった経験はありませんか?
日本語だと、『行かなかったの?』と聞かれたら、『はい(行きませんでした)。』と肯定文で答えるのが普通ですよね。
でも、英語では、どんな聞かれ方をしようと、『行った』ならYes、『行かなかった』ならNoです。
実はこれ、日本語と同じ答え方をする他の言語が割りと多く存在するのです。Yes/Noだけだと、行ったのか行ってないのか結局分からず仕舞い、なんていうことも珍しくありません。
グロービッシュでは、このような答え方に困ってしまう否定疑問文は使いません。
もっとシンプルに、『Did you go to school today?』と肯定疑問文で聞くので、答えに誤解が生じる心配もありません。
また、アジアの国に観光旅行に行って、レストランで『コリアンダーを入れないで』とお願いしたいとき、『It would be appreciated if you could avoid putting coriander in my dish.』と回りくどく説明するよりも、『No coriander please.』とシンプルに言った方が、絶対に伝わりますよね。
グロービッシュの3つのデメリット
デメリット① ネイティブがグロービッシュで話しかけてくるとは限らない
デメリット②ネイティブらしい流暢さに欠ける
デメリット③言語を学ぶことを楽しむ人には物足りない
基本的にグロービッシュは非ネイティブ向け
グロービッシュはそもそも、非ネイティブ同士、もしくは、非ネイティブのビジネスパートナーがいるネイティブ向けに作り出されたコミュニケーション方法です。
グロービッシュなんて知らないネイティブが多数派でしょう。
ですので、通常の英語で話しかけてくるネイティブを100%理解するためには、グロービッシュだけでは難しいかもしれません。
ただ、グロービッシュは簡易化されてはいますが、正しい英語でもあります。こちらから話す分には十分に通じます。
ネイティブの表現や単語でわからない部分があれば、そこだけ違う言葉に置き換えて貰えば問題解決です!

3000単語で日常英語の8割は理解出来る?
一般的に、3000語の英単語を知っていれば、簡単な日常会話はこなせると言われています。
グロービッシュは、覚える単語数は1500単語と言っていますが、実際は基本の1500単語プラスその派生語で3000語ほどになるようです。
日常会話に必要な3000語と数が一致しますね。
あなたの語彙力を試してみよう
自分が今何単語くらい知っているのか、気になったのでオンラインでテストをしてみました。
一つだけでは信用できなかったので、いくつか試したのですが、おもしろいことに全てのテストでほぼ同じ結果が出ました。結果には信憑性がありそうです。
どのテストでも、初めの方のレベルの単語は、問題なくスイスイ進めるのですが、ある一定のレベルになると忘れていたり、ちょっと微妙になってきて、その次のレベルになるとほとんど意味がわからなくなりました。
おそらく、怪しくなったあたりのレベルで、私のちゃんとした『英語学習』が止まっているのだと思われます。
でも、スイスイ進めた初めの方の単語だけで、イギリスで仕事は問題なくできています。
使用頻度の低い単語は無理に覚えなくても、海外で普通に通用するということではないでしょうか。
英語の学習を始める前に、語彙力を試してみてはいかがですか?
[Test Your Vocab] http://testyourvocab.com/ [英語の語彙力の測定テスト~英単語のボキャブラリーレベル計測試験~ – Weblio] https://uwl.weblio.jp/vocab-index [Prolingua :: Executive Language Services] http://www.prolingua.co.jp/vocab_est_j.html結論:グロービッシュはネイティブとの会話にも有効!
グロービッシュは非ネイティブ向けと言われていますが、文法は間違っていませんし、海外にいても日常で使う単語は限られていますので、ネイティブのように単語を3万語も覚える必要はありません。
ということで、私の結論は、『グロービッシュはネイティブにも通じる!』です。
特に英会話初心者の方には、短期間で上達を実感できるのでお勧めです。
でも、これは英語を『ツール』として割り切っている場合なので、『英語を極めたい』、『ネイティブのように気の利いた言い回しをしたい』、という方は、グロービッシュで不要とされている部分が重要な学習要素になります。
グロービッシュとコツコツ学習、目的によってどちらかを選んでみてはいかがでしょうか?
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