『帰国子女』へのコンプレックス
得意の英語を活かして就職したはずの外資系企業。
でも、帰国子女の同期に『アメリカではこう言う』なんて、ネイティブ並みの発音で英語を喋られると、自分の英語は間違ってないと思いつつも『帰国子女が言うんだからそうなのかな…』と弱気になってしまいますよね。
そして、ネイティブレベルの英語を身につけるために、会社を辞めて語学留学に、というのもよくあるパターンです。
多分に漏れず、私もそのパターンに陥りました。
子供の頃から英語が好きで、一生懸命勉強を続けて入社した外資系ホテル。
希望した通りの英語をバンバン使う仕事で、外国人支配人の秘書にまでなりました。
それでも常に自分の英語がネイティブレベルではないこと、『帰国子女』に対するコンプレックスが消えず、大好きだったホテルを退職し、イギリス留学を決めました。
今でも10年以上イギリスにいるのですが、問題の英語はネイティブレベルとはお世辞にも言えません。
今後何十年経っても、ネイティブレベルになれるとは思えません。
せっかく英語を勉強してきて希望の会社に入社したのに、英語がネイティブレベルではないことだけが理由で語学留学を考えている方へ、『ネイティブレベルの英語を目指してはいけない5つの理由』を、お伝えしたいと思います。

理由 1. 留学しても英語はネイティブレベルにはならない
10年以上イギリスに住んでいるので、さすがに日常生活や仕事で英語は問題なく使えています。
日本語より英語で言ったり、書いたりした方が早い時だってあります。
でもイギリス人が聞けば、すぐにネイティブじゃないとバレてしまいますし、いまだに、ドラマの『シャーロック』を観ていると、知らない単語がよく出てきます。
1年ほどの語学留学で、英語が一気にネイティブレベルになるとは、残念ながら思えません。
語学留学で英語力が全く上がらない、と言っているわけではありません。
海外生活を経験できるというのも留学の醍醐味です。
ただ、ネイティブレベルの英語力を手に入れるのは、ほぼ不可能かと思われますので、『帰国子女』へのコンプレックスの解決にはなりません。
ネイティブレベルを目指し続けると、一生コンプレックスから解放されなくなってしまいます。
留学をするのでしたら、ネイティブレベルの英語にとらわれず海外生活を楽しむか、MBA留学など、帰国後のキャリアにつながる留学を検討することをお勧めします。

理由2.『ネイティブの英語=通じる英語』とは限らない
ビジネスの相手がみんな、英語のネイティブスピーカーというわけではありません。
むしろ、私たちのように第2外国語という人の方が多いかもしれません。
非ネイティブスピーカー同士の英語のやり取りの方が、案外スムーズにいったなんていう経験はないでしょうか?
ネイティブではないからこそ、お互いに分かりやすい英語で、誤解が生じないように伝えることを心がけているのだと思います。
逆に、ネイティブスピーカーの英語表現が、非ネイティブスピーカーに理解してもらえず、誤解を招くということもあります。
ビジネスで必要なのは、『正確に伝えること』なので、英語がネイティブレベルである必要はないのです。
理由3. 重要なのは中身

イギリスで仕事をしていると、日本人を含め、英語圏以外の外国人と一緒に働く機会が多いのですが、みんなアクセントが強くて、ネイティブレベルとは呼べません。
それでも、みんな堂々とイギリス人と渡り合っています。
発音も語彙力もネイティブにはかなわないはずなのに、知っている単語や表現をうまく使って、しっかり自分の意見を主張しているのです。
ホテル時代に、英語でのクレームにうまく対応できないのは自分の英語力のせいだと思っていましたが、本当は違ったのだと気づきました。
『英語』というだけで舞い上がってしまっていただけで、落ち着いて考えれば、限られた英語力でも十分対応できたはずなのです。
英語はコミュニケーションの『道具』に過ぎない、というのを実感しました。

理由4. ネイティブの英語がいつも正しいとは限らない
『ネイティブ=完璧な英語』、と考えてしまいがちですが、実はそうでもないのです。
例えば、日常会話でよく出てくる、『〜すればよかった』という意味の『should have』ですが、通常会話では、『should’ve』と省略されます。これをイギリス人が書くとどうなるかというと…『should of』です。
音から判断して、こう書いてしまう人が本当に多いのですが、文法を学んだ私たち外国人からすると、ありえない間違いです。
『thereとthey’re』、 『its とit’s 』などを書き分けることも苦手なようです。
ピリオドや、コンマ、アポストロフィーなどの記号をつけることができないネイティブも多いです。
私の勤め先の経理部長がこのパターンで、メールを読むのに一苦労でした。
文法やスペリングなどは、意外と英語を外国語として学んだ外国人の方が得意だったりします。
特に日本人の文法力は高いので、もっと自信を持ってもいいと思います!

理由5. 気にしているのは自分だけ?
最後に、自分が思うほど周りはあなたの英語がネイティブレベルでないことを気にしていません。
日本語が流暢な外国人がたまに変なアクセントだったり、文法を間違えても、『日本語が完璧じゃないからダメだ』なんて思いませんよね?
私なら『これだけ外国語でコミュニケーションがとれるなんてすごい!』と思います。
英語でも同じことです。
外国人に完璧な英語なんて、そもそも期待していません。
相手に誤解を与えず、きちんと自分の意見を伝えられさえすればいいのです。
発音のせいで通じないというレベルでない限り、日本人訛りだって構わないと思います。
完璧じゃなくて当たり前!
帰国子女ではない日本人が、ネイティブレベルの英語を習得するのは不可能に近いです。
でも、だからと言って、恥ずかしがる必要なんてありません!
日本でしっかり身につけた文法力を使って、相手に誤解を与えずに、自分の意見を正確に伝えるられる英語を磨いていきましょう!
ネイティブじゃないんだから、完璧じゃなくて当たり前、と開き直って、堂々と英語をしゃべっていると、自然に英語も上達していきますよ!
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